基本情報技術者試験 第3章「技術要素」(ネットワーク) – よく出る問題と抑えておきたいポイント
目次
こんにちわ、佐藤です。
今回は、基本情報技術者試験、第3章「技術要素」になります。この章は試験の中でも出題数が多いテクノロジ系の中、特に出題数が多い章となっており、午前の要と言えること間違いなしです。
とりわけ重要な章ということで、「データベース」、「ネットワーク」、「セキュリティ」の3つに分割してお届けしたいと思います。
本ブログでは目標を「ネットワーク」に入れて、勉強していきましょう。
今回の内容
今回は、幅広い対象範囲の中、「技術要素」の中の「ネットワーク」に焦点を当てて、書いていきます。
下記、試験範囲の詳細です。
試験範囲の詳細
- 第1章 基礎理論
- 第2章 コンピュータシステム
- 第3章 技術要素
- 第4章 開発技術
- 第5章 プロジェクトマネジメント
- 第6章 サービスマネジメント
- 第7章 システム戦略
- 第8章 経営戦略
- 第9章 企業とホーム
– データベース
– ネットワーク
– セキュリティ
技術要素とは
この章は主に「データベース」、「ネットワーク」、「セキュリティ」の3分類に分かれており、個別の技術について取り上げています。
章全体のボリュームは多いのですが、それぞれ独立して学習できます。
ただしデータベース、ネットワーク、セキュリティは切り離して考えられない関わりを持っています。
以下、抑えておきたい項目です。
アクセス制御方式
LANでは、共有する伝送路が長時間保有されてしまうのを防ぐため、データをパケットやフレームと呼ばれる小さい単位に分割して転送を行います。どちらもでーたそのものに加えて、宛先や送信元といったアドレス情報や組み立てる際に必要となるシーケンス番号を持っています。
データ伝送に関わる計算問題
この項目の問題はほぼ毎回出題されています。下記、公式です。
データ伝送時間 = 伝送データ[ビット] ÷ データ伝送速度[ビット/秒] × 回線利用率
回線利用率 = 実際の伝送データ量[ビット/秒] ÷ データ伝送速度(伝送可能な最大量)[ビット/秒]
この計算は結構簡単な印象があります。ただ気を付けなくてはいけないのは、単位です。
皆さん、1[ビット]は何バイトか覚えていますか?
こういう戦いになるのでチェックしときましょう!
機能を7階層で示すOSI基本参照モデル
OSI基本参照モデルは、プロトコルを7階層に分け、各階層ごとに必要とされる機能を定義しています。各層をレイヤ(layer)と呼びます。
プロトコルを階層化しておくと、階層ごとの独立性が高まり、ある程度のプロトコルが変化しても、他のプロトコルに与える影響が少なくなり、階層ごとに改良や拡張が容易になる利点があります。
OSI基本参照モデル各層の役割
第1層:物理層 | 通信回線に流れる電気信号の取り決めや、接続用ケーブルやコネクタのピン形状などを規定します。 |
---|---|
第2層:データリンク層 | 隣接する端末間において、確実なデータ伝送を行うためのプロトコルを規定。HDC(High level Data Link Control)などの伝送制御手順が該当します。 通信回線で結ばれたノード間の論理的な経路の接続(データリンクの確立)、誤り制御により確実なデータ伝送を保証します。 |
第3層:ネットワーク層 | ネットワークアドレスを設定し、目的の端末までの通信経路を提供するプロトコルを規定。 経路選択(ルーティング)と中継機能により、パケットを送受信します。 |
第4層:トランスポート層 | 通信網に依存しない高品質な通信路(全二重通信路)を設定します。 データを送信用の単位(パケットなど)の分解または組み立て、送信権制御、誤り制御、フロー制御(データの流れる量を調節)などを行います。 |
第5層:セッション層 | 送信先との論理的な通信路の確立や切断を行い、通信方法を決める役割を果たします。 また、半二重通信(一方が送信中に他方からは送信不可)、全二重通信(両方から同時に通信可)の制御を行います。 |
第6層:プレゼンテーション層 | アプリケーション層のデータを共通な形式に変換したり、暗号化やデータの圧縮・伸張などを行います。 アプリケーション層のデータを共通な形式に変換したり、暗号化やデータの圧縮・伸張などを行います。 |
第7層:アプリケーション(応用)層 | アプリケーションに応じたデータ通信機能を提供します。 例えば、メールソフトで作成したメッセージを下の層に引き渡したり、下の層から受け取ったメッセージをメールソフトに引き渡すなどです。 |
通信プロトコル
ネットワークインターフェイス層のプロトコル
PPPoE(PPP over Ethernet) | 電話回線によるダイヤルアップ接続で利用されるPPP(Point to Point Protocol)を、LANなどの常時接続の環境で利用できるようにしたもの。 ADSLや光ファイバによるインターネット接続サービスで採用されています。 |
---|
インターネット層のプロトコル
IP(Internet Protocol) | ネットワークを介してデータ転送を行うためのルーティング(経路選択)や中継機能を提供し、2つのノード間でコネクションレス型のデータ伝送を実現します。 目的のノードまでのデータ伝送は、ベストエフォート(最善の努力はするが、確実な伝送の保証はしない)で行います。 |
---|---|
ARP(Address Resolution Protocol) | IPアドレスからMACアドレスを求めるためのプロトコルです。 指定したIPアドレスをもつノードのMACアドレスを、同一ネットワーク内にブロードキャスト(すべてのノードに対して問い合わせを行う)します。 |
トランスポート層のプロトコル
TCP(Transmission Control Protocol) | データを送信する前に、送信側と受信側で論理的な通信路を確立するコネクション型の伝送を行うプロトコルです。 OSIの第4層と同様に、上位層に対して個々の通信網に依存しない高品質な通信路を提供します。 |
---|---|
UDP(User Datagram Protocol) | コネクション型の伝送を行います。これは、信頼性よりも速度を重視したもので「データが届いたか」という確認を行いません。 UDPを使用するアプリケーション層のプロトコルには、DNS、DHCP、SNMP、NTPなどがあります。 |
アプリケーション層のプロトコル
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol) | メールサーバ側のメール転送、クライアントからのメール送信を行うためのプロトコル。 |
---|---|
POP3(Post Office Protocol Version 3) | コネクション型の伝送を行います。これは、信頼性よりも速度を重視したもので「データが届いたか」という確認を行いません。 UDPを使用するアプリケーション層のプロトコルには、DNS、DHCP、SNMP、NTPなどがあります。 |
HTTP(HyperText Transfer Protocol) | HTMLファイルを転送し、WWWを実現するためのプロトコル。 |
FTP(File Transfer Protocol) | ファイルを転送するためのプロトコル。 |
DNS(Domain Name Protocol) | ドメイン名とIPアドレスを対応させる名前解決のサービスを提供するプロトコル。 ホスト名からIPアドレスを割り出すために利用。 |
NTP(Network Time Protocol) | ネットワークを介して、コンピュータの時計を合わせるプロトコル。 |
IPアドレスの役割
インターネットには、無数のコンピュータやLAN間接続装置が接続されており、それぞれに重複しないIPアドレスが割り当てられています。
これは番地のようなもので、ネットワーク層(インターネット層)のIPプロトコルを使って通信経路を確立するために用いられます。
IPアドレスの構成
IPアドレスは32ビットのビット列で、ネットワーク部とホスト部から構成されます。
通常8ビットずつを10進数に変換し、ピリオドで区切って表します。1つのLANには、1つのネットワークアドレスが割り当てられ、LAN内のそれぞれのコンピュータに、ホスト部の値が異なるIPアドレスを割り振ることで、各コンピュータを識別します。
アドレスの無駄を防ぐサブネットマスク
クラス単位でのIPアドレスの割り当ては、利用されないアドレスが発生しやすく、限られたアドレス空間を有効に利用できません。
このため、クラスに依存せず、サブネットマスクでネットワーク部の長さを識別するCIDR(Classless Inter-Domain Routing:RFC2050)方式を用いるのが一般的です。
サブネットマスクとは、ネットワーク部のビットがすべて1、ホスト部のデータがすべて0であるデータを使ってネットワークアドレスを取り出すことです。
具体的には、IPアドレスとサブネットマスクのビット単位の論理積(AND)を計算することで、ネットワークアドレスを取り出します。
例えば、ネットワーク部が24ビットの場合のザブネットマスクは、「255.255.255.0」となります。
電子メールが届く仕組み
手順1 | メール転送プロトコルSMTPを使って送信者のメールサーバに送られます。 |
---|---|
手順2 | SMTPによりインターネット上に転送される。 |
手順3 | 到着したメールは受信者の要求により、メール受信用プロトコルPOP3により受け取ります。 |
手順4 | 到着したメールは受信者の要求により、メール受信用プロトコルPOP3により受け取ります。 |
以上、抑えておきたい項目でした。
それでは、何問かよく出る問題を選抜しましたのでチャレンジしてみましょう。
1.必要な回線速度に関する問題
制御用符号を含む長さ400バイトのデータを1時間当たり3,600件送信したい。伝送効率が60%であるとき、要件を満足する最低の回線速度は何ビット/秒か。
ア: 2,400
イ: 4,800
ウ: 9,600
エ: 14,400
ヒント
1時間当たりに送信したいデータは3,600件で、そのデータは
3,600 × 400[バイト] = 3,600 × 3,200[ビット]
解答:ウ
2.OSI基本参照モデルに関する問題
OSI基本参照モデルにおけるネットワーク層の説明として、適切なものはどれか。
ア: エンドシステム間のデータ伝送を実現するために、ルーティングや中継などを行う。
イ: 各層のうち、最も利用者に近い部分であり、ファイル転送や電子メールなどの機能が実現されている。
ウ: 物理的な通信媒体の特性の差を吸収し、上位の層に透過的な伝送路を提供する。
エ: 隣接ノード間の伝送制御手順(誤り検出、再送制御など)を提供する。
ヒント
ネットワーク層は、目的の端末までの通信路を提供するプロトコルを規定します。
解答:ア
3.IPアドレスの割り当てに関する問題
次のネットワークアドレスをもつネットワークがある。このネットワークを利用する場合、PCに割り振ってはいけないIPアドレスはどれか。
ネットワークアドレス:200.170.70.16
サブネットマスク:255.255.255.240
ア: 200.170.70.17
イ: 200.170.70.20
ウ: 200.170.70.30
エ: 200.170.70.31
ヒント
サブネットマスクの最下位桁の240は2進数で「11110000」なので、下位4ビットがホストアドレスに使えます。
解答:エ
4.DNSが果たす役割に関する問題
TCP/IPネットワークでDNSが果す役割はどれか。
ア: PCやプリンタなどからのIPアドレス付与の要求に対し、サーバに登録してあるIPアドレスの中から使用されていないIPアドレスを割り当てる。
イ: サーバにあるプログラムを、サーバのIPアドレスを意識することなく、プログラム名の指定だけで呼び出すようにする。
ウ: 社内のプライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換し、インターネットへのアクセスを可能にする。
エ: ドメイン名やホスト名などとIPアドレスとを対応付ける。
解答:エ
5.電子メールのプロトコルに関する問題
電子メールシステムで使用されるプロトコルであるPOP3の説明として、適切なものはどれか。
ア: PPPのリンク確立後に、利用者IDとパスワードによって利用者を認証するときに使用するプロトコルである。
イ: メールサーバ間でメールメッセージを交換するときに使用するプロトコルである。
ウ: メールサーバのメールボックスから電子メールを取り出すときに使用するプロトコルである。
エ: 利用者が電子メールを送るときに使用するプロトコルである。
解答:ウ
まとめ
お疲れさまでした。以上となります。
暗記ばかりで気が滅入ってきますね……。
でもだからこそ計算問題は落とせない! 数が少ないから試験にも絶対出る!
単位の計算ミスに気をつけましょうね!
それと早いもので第1章が公開されてから半年が経過しました。
サクッと書き上げる予定が、2017年の春季には間に合いませんでした。
なんとか秋季までの完成を目指しますので、どうぞ応援宜しくお願いします!
《関連記事》
基本情報技術者試験 第1章「基礎理論」 – よく出る問題と抑えておきたいポイント
基本情報技術者試験 第2章「コンピュータシステム」 – よく出る問題と抑えておきたいポイント
基本情報技術者試験 第3章「技術要素」(データベース) – よく出る問題と抑えておきたいポイント